2013年10月2日水曜日

ビジネスのしやすいインドネシアの地方都市

ビジネス情報誌『SWA』の2013年8月15-29日号は、ビジネスのしやすいインドネシアの地方都市ランキングを発表した。SWAは毎年、このランキングを発表しているが、満足度指数、推奨度指数という2つの指数で数値化している。

サーベイは2013年6月に行われ、全国のすべての県・市のうち、GRDP(Gross Regional Domestic Products)の上位20位までの県・市を対象に、それぞれの県・市で各90名の実業家・企業を対象にアンケート調査を行った。

満足度指数については、インフラ、許認可・地域政策、税金・利用者負担金、政府の支援について「とても満足」「満足」の2つを合わせたパーセンテージで示した。

また、推奨度指数は、NPS(Net Promoter Score)指標を使い、「この県・市を奨めたいか」という問いに対して1〜10の10段階で調査し、プロモーター(段階9〜10)の比率(%)からデトラクター(段階1〜6)の比率(%)を引いたNPS指標を用いる。NPS指標が高ければ、その県・市を推奨する度合い、すなわち推奨度が高いと判断される。

ぐちゃぐちゃ書いてしまったが、要するに、そこでビジネス活動を行っている実業家の自己満足度の高い県・市はどこか、という話が、「ビジネスのしやすいインドネシアの地方都市」という話になる、というわけである。

そして今年のランキングは、以下の通りである。

●総合(満足度+推奨度)
第1位:パレンバン市(南スマトラ州)
第2位:シドアルジョ県(東ジャワ州)
第3位:東クタイ県(東カリマンタン州)
第4位:マカッサル市(南スラウェシ州)
第5位:ボゴール県(西ジャワ州)
第6位:スラバヤ市(東ジャワ州)
第7位:バタム市(リアウ群島州)
第8位:スマラン市(中ジャワ州)
第9位:バンドゥン市(西ジャワ州)
第10位:ジャカルタ首都特別州
第11位:プカンバル市(リアウ州)
第12位:タンゲラン市(バンテン州)
第13位:クタイ・カルタヌガラ県(東カリマンタン州)
第14位:バンドゥン県(西ジャワ州)
第15位:チラチャップ県(中ジャワ州)
第16位:デリ・スルダン県(北スマトラ州)
第17位:メダン市(北スマトラ州)
第18位:クディリ市(東ジャワ州)
第19位:ブカシ県(西ジャワ州)
第20位:カラワン県(西ジャワ州)

●満足度
第1位:スラバヤ市(東ジャワ州)
第2位:パレンバン市(南スマトラ州)
第3位:東クタイ県(東カリマンタン州)
第4位:ジャカルタ首都特別州
第5位:マカッサル市(南スラウェシ州)
第6位:プカンバル市(リアウ州)
第7位:バンドゥン市(西ジャワ州)
第8位:シドアルジョ県(東ジャワ州)
第9位:タンゲラン市(バンテン州)
第10位:スマラン市(中ジャワ州)

●推奨度
第1位:ボゴール県(西ジャワ州)
第2位:シドアルジョ県(東ジャワ州)
第3位:パレンバン市(南スマトラ州)
第4位:東クタイ県(東カリマンタン州)
第5位:マカッサル市(南スラウェシ州)
第6位:バタム市(リアウ群島州)
第7位:スマラン市(中ジャワ州)
第8位:バンドゥン市(西ジャワ州)
第9位:スラバヤ市(東ジャワ州)
第10位:ジャカルタ首都特別州

ちなみに、昨年の総合順位の1〜3位は、ボゴール県、タンゲラン県、ブカシ県で、いずれも首都ジャカルタの周辺の県だった。それに対して、今年の総合1〜3位はパレンバン市、シドアルジョ県、東クタイ県と、すべてジャカルタから離れた県・市であった。とくに、日系企業の進出が集中するブカシ県やカラワン県は全20県・市中19位と20位に留まっている。

昨今、ジャカルタ周辺の投資環境が悪化して来ている様子だが、今回のランキングの変化はそれを反映したものといえるだろうか。

もっとも、インドネシアの実業家にとってビジネスのしやすい都市は、日系にとってもビジネスのしやすいところとは限らないのはもちろんである。これは、あくまでも参考程度に留めておけばいい話であろう。

それでも気になるのは、インドネシアの地方都市(県・市)がお互いを意識し合い、ビジネス環境の改善に意欲を見せ始めているからである。こんなことは、中央集権のスハルト時代には起こらなかった。いろいろと面倒になった部分もあるが、これも地方分権化の産物といえる。

現場を見ることもせず、地方をすべてダメな存在と一般化するのではなく、インドネシアの実業家が「ビジネスがしやすい」と考える地方都市の魅力を探ることも必要なのかもしれない。まだまだ我々の知らないインドネシアがそこにある。

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